相手にとって不足なし

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今坂を見届けた後、浩太郎達はすぐに立ち上がり走り出す。 時間を無駄にするわけにもいかないので、感傷に浸るのは後である。 「おそらく、これで敵のハンデもおしまいだろうな。 ったく、ボスはどこにいやがるんだ。」 「普通に考えれば、入場ゲートから一番奥にあるアトラクションか、このテーマパークの中央に位置するアトラクションだろうな。」 大紀は自分なりの意見をいってみるが、どれも確証がないためあまりあてにできない。 「ともなれば・・・危険なことだが、分散して探すしかないようだな。」 「だろうな、それが一番手っ取り早い。」 大紀に続いて他のメンバーも賛同する。 ここまで時間に固執するのにはわけがあった。 「タイムリミットまで、残り二時間半だな。」 紀之の言うタイムリミット・・・ それは、以前のメールにかかれてあった最大の注意点である。 ゲートを開いて三時間後、敵はこのテーマパークを消滅させるといっている。 普通に考えれば敵にとっても意味のなさないことであったが、浩太郎はこれを信じていた。 紀之の、敵に関する情報を聞いていたから。 「この時間になれば・・・・本当に敵は消滅してしまうのか?」 「あぁ、その時間はおそらくDADプログラムの消滅能力の代償・・・・自分たちが消滅してしまう時間と同じだ。 それまでに敵が力を放棄しなければな。」 おそらく、敵も時間がないため短期決戦を挑んできたのだろうが、 「その時間まで外で待っていればいいんじゃないのか?」 「それはできないな、おそらく敵はこの世界のプログラムを動かすことができる。 そして、この世界にも存在するんだ。 データの初期化がな。」 DAD世界の初期化、それはゲームをプレイする人間がかわる度に行われるもので、完全にデータを以前の状態に戻してしまう。 そうなってしまうと、今いる世界は完全に消滅し、敵を含めて全員消え去ってしまうのだ。 「それだけは・・・こっちもさけたいしな。」
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