オースター孤児院の人々

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ティア・オースターの昼の仕事は、畑にいる兄たちの元へ、弁当を運ぶことである。 その途上、なにもないのに躓き、ティアは転びそうになった。 急に、目眩を感じたのだ。 無理矢理付き合わせたミンミに支えられなければ、実際に転んでいただろう。 「……大丈夫、ティアちゃあ?」 「……え? ……ああ、うん……なんか、急にくらっと……」 言って、気付いた。 ティアの二の腕を掴むミンミの掌が、汗で濡れている。 額にも、汗が玉となりびっしりと付いていた。 「……どうしたの、ミンミ? 汗びっしょりだけど」 「え? ああ、そう……あれかも。ティアちゃあと二人きりで、興奮してるのかも」 「……変態」 ミンミの手を振りほどき、ティアはまたよろめいた。
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