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夏輝はベージュに胸元のフリルが印象的なスリップドレスを着ていて、いかにも女の子らしい可愛い出で立ちだ。
女性のカゲヤマでさえうっとりしそうなかわいさで、笑いかけられたら思わず照れてしまった。
二人の意見を紅香が代表するように、
「構わないけどさ、……何だ、タカヤ珍しく女連れと思ったら、何か遂行中?事情あるんだ、つまんなーい!。」
「……何だおまえ、その言い方は?、大体お前ら社内で見掛けるのも珍しいけど、どうしてこんな時に限って鉢合わせするかなあ……。」
心底から困った様子で矢島がつぶやくと、
「あんたがこっち方面に寄り付いてることが珍しいからじゃん!。
あ、でも、カゲヤマちゃん連れてきたかったんだね。
わーったわーった、邪魔しないから、ほら、夏輝、行くよ!」
真っ赤になった矢島を、はしゃいだ紅香がからかうようにそう言って、店を後にしようとした。
夏輝も軽く一列をしてふんわりと微笑んで、「それではタカヤ様、お先に失礼致しますわ、……そう言えば先日差し上げた上海土産のパンダちゃんはお元気かしら……。」
「ああ、多分、今頃黒澤が抱きしめてると想う……。」
その頃黒澤は、今度は両手でまだ巨大パンダを抱きしめて、なにかをまたしきりに悩んでいた。
羽交い締めはされるわ、話しかけるわ、ぱんだも本当に、……苦しそうだ。
その黒澤の背後に、人影が、見えた。
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