舞えよ、華乱舞。

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でも、今日は違った。 目を開けると暗い視界。塞がった口に、手首を擦るばかりで動かない手。足は鉛を付けたように重く、横たえられた体は冷たいコンクリートの上。 意識を取り戻したのは、ついさっきの事だった。 まあまず、学校は至って普通に、いつも通りに過ごした。 普通に学校で授業受けて、放課後はダンスの練習で居残りさせられて、帰ったら梓がテ●プリ漁っててたから一頻り怒った後、どこのユニフォームが着てみたいか語って、晩飯はいろんな人と食堂で食べた。 で、部屋戻って───それからあんまり憶えてないが───起きたらこれだ。 つまり、全然全く理由さえも謎のまま誰かに連れてこられたのだ。 訳が分からない。 いわゆるこれも王道ってものなのか。王道から外れたのにまだいろいろイベントがあるのか。一応学校変えて一年も経ってないんだが…まだまだ前途多難だ。 ガタ、と戸の開くような音がした。立て付けが悪いようで、途中ガコッとかゴッとか聞こえたあと、バンッと最大に力強く開けきった音がした。 足音が複数、近付いてくるのがわかる。 視界も口も塞がれている。 正直、怖い。
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