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活発に活動を繰り返す火山。
噴火は凄まじく、傘差すよう天へと噴き昇る噴煙は太陽光を遮り、雹のよう隙間無く降り注ぐ火山弾は大地を焦がし、灰と火砕流が大地を走り埋め尽くす。
海は地割れと共に海底火山が火を噴き、水蒸気爆発が海面を飛散させる。
「ドっっちきしょぉおお!!」
如何なる生物でさえ生きる事さえ叶わぬ地表で、巨大な影が雄叫びを上げた。
力無く、灰に埋もれた大地に膝付く影の前に、火砕流のカーテンに隠れたもう一つの影が歩み寄る。
「負ける訳にゃぁあいかねーんだよ!」
最後の力を振り絞るよう、折れた脚で地表を陥没させ、後ろに火山灰を巻き上げながら牡丹色に眩く発光する拳を振り下ろす影。
しかし、突き出した渾身の拳は、突如足下から噴出した火柱に肩口から焼き切られ、虚しく宙を舞う右腕は鱗粉のよう微塵に砕け、山肌を駆け降りる熱風に噴き飛ばされた。
カーテンの奥から、勝利を掴み取ったと勝ち誇るよう、岩盤を擦らすようなギシギシとした音が噴火の爆音に負けじと響く。
右腕を失った影は、とうとう両膝を付きゆっくりと身体を地表にうずめた。
「……今回はテメェ等の勝ちだ。だが! 骨身の髄の髄の髄髄まで刻んどけ! 何時か……何時か必ず俺達人類が勝つ!」
かろうじて動く左手で指差し、影は吠える。
それさえも阻むよう、大地に亀裂が走り、砕けた岩と共に影は暗い狭間へと糸の切れた人形のよう無抵抗に落下していった――。
「……頼んだぜ。…………未来のジーリョックン」
砂のよう細かく砕け、原型を失う影からか細い呟きと、赤と青の小さな石が闇の中へと溶け込んでいく――――。
この誰も知らぬ死闘から、数百年の時を経て、再び物語は進み始めた。
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