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はらはらと降り続ける雪は、まだ積もるほどではない。
四人並んで雪を見上げていた。
「そういえば、怪我はもう大丈夫なのか?」
「えっ?!」
永倉に聞かれ、動揺してしまう。
永倉の向こうから、心配そうな原田の視線が向けられていた。
「あ、ああ。怪我、ね。
うん。もーだいじょーぶ!」
背中の傷は、言葉通り治っている。
「傷は?」
ボソリと原田が呟いた。
「傷?
怪我って、そんな酷いものなのか?」
「い、いや………」
「怪我したとしか聞かされてないんだ。
大丈夫だったのか?」
永倉は、本当になにも知らされていないのだろう。
雪緒の胸が、チクンと痛んだ。
永倉も藤堂も、普段から原田ととても仲が良い。
それは、新撰組となるよりすっと前、江戸で近藤の道場に居たころからの付き合いからだろう。
そんな永倉にさえ、何も言っていない原田。
普段の原田と、新撰組の一組長としての原田の違いを感じた。
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