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食堂から生徒会室へ戻った所で、拓真は口を開いた。
「さて、それじゃあまずは飯にするか?せっかく運んだのに、冷めたら旨くないからね」
と、自分達が来る前に運び終わっていたらしい食事の蓋を外しながら帝を手招いた。
そのあまりのフレンドリーさに、帝は困惑した表情で動けないでいた。
なかなか近づいて来ない帝に、不思議に思った拓真が顔を上げると、そこには何とも言えない顔で目をうろつかせている帝がいた。
それをみて拓真は、そういえば、自分は先ほどから相手に対する口調や態度がころころ変わりすぎていたことに気づく。
突然ため息を吐いて、やってしまった。と言うように手で顔を覆った拓真に、びくりと帝は動いた。
「あ、ど、どうかしましたか・・・?」
「あー、いや、な。・・・うん、取りあえず、食べよう。本当に冷めてしまうよ?」
拓真は何かを諦めたようにひとつ頷くと、急に口調をしっかりしたものに変えて再度帝を促した。
その変わりように驚きながらも、帝も取りあえず食事の席についたのだった。
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