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「逮捕、しちゃうぞ?」
玄関を開けると、上目遣いでそんな事を言われた。意図が掴めず眉をしかめると「逮捕、しちゃうぞ?」とまた言われる。
「あの、神谷さん?何が言いたいんですか?…とりあえず、どうぞ。」
部屋の中へと進め、慣れた足付きでソファーにどかりと座った。
「小野君、喉渇いた。」
あ、今準備します。珈琲で良いですよね?と聞く俺に神谷さんは、んと短く返事を返した。
あれはどういう意味なんだろうか。それにこの人は何をしに来たんだろう?
……まさか、そんな訳ないよな。
「神谷さん、珈琲入りまし…た…ってあれ?神谷さん?」
さっきまでソファーに居た神谷さんが居なくなっていた。もしかして、顔を見に来ただけで帰ったんだろうか。珈琲を啜りながら一人そんな事を思う。
後ろの人影に気付かないまま。
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