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ミズチ
生まれた時から運命は決まっていて、そしてその運命は絶対に覆ることがなかったとして、そうだとするならば、僕はここで諦めてもいいのではないか、なんてことを考えてみた。
だってそうだろう?
そういう運命になる運命だったってことじゃないか。
もちろん誰も運命は決まっているなんて言ってないのだけれど。
あくまでも仮にの話だ。
そう仮定すると、僕個人には、なんの責任もないわけで、それでもって誰にも責められる言われもない。
だからいいじゃないか、ここで諦めたって。
ここで僕は何もせずにただ膝を地面に付け、そのまま数秒間待っていればいいだけ。
ただそれだけ。
それだけで全ては終わる。
それだけでこの子は__大海 円は、僕を殺せる。
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