日常が軋む時

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漆黒の闇だった。 私はただ闇を見つめている。 ――トクン、トクン 自分の心臓の音が響く。 それ以外に音を発するものは無く、辺りは静寂が支配するばかり。 ふと、光が一点灯った。 次第にそれは大きさを増していく。 そしてついに、私を包み込んだ。 唐突に、音が聞こえた。 『……ら、沙羅、沙羅』 誰かが私を呼んでいる。 私は声の主を探す。 しかしながら、慣れない目に、光は眩しすぎて、何も見ることが出来ない。 そして……
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