始まる生徒会

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 生徒会室には初めて来たけど、室内は広めの長方形で、奥には校長先生が使うような立派な机が1つあり、その机と扉の中間に長机が1つ。それを挟むように2人掛け用のソファーが2つ配置されている。片側の壁一面は資料用の棚や本棚がびっしりと置かれており、逆側の壁には絵画などが飾られていた。  なんかまるで校長室みたいな雰囲気だな。というかこのソファーとか校長室の来客用より上質なんじゃないのか? こんなところを今まで1人で使っていたなんていろんな意味ですごいな。 「ありがとう坊や」  璃緒先輩は俺から資料を受け取りながらコーヒーを口に運びつつ眼を通し出した。  その様子すら絵になるほどの美少女っぷりに、俺はついつい見蕩れてしまっていた。 「ん? どうしたのかしら、坊や」  俺の視線に気付いた璃緒先輩が可愛らしく小首を傾げてきた。  気付いたというか、資料を渡した位置から一歩も動いていないんだから当たり前だよな。やだ恥ずかしっ。 「す、すいませんっ。璃緒先輩のコーヒーを飲む唇がすげープルプルしててほっぺもぷにぷにしてて瞳なんかキラキラしててつつきたくなってました」  俺は照れ隠しに思ってること思ってないことを口早に伝えた。……全部思ってることだわ。 「ふふっ。坊や、唇や頬ならいいけど瞳をつついたらそれはただの目潰しだから止めてよ?」 「ですよね!?」  璃緒先輩が微笑みながら優しく言った台詞に俺が慌てると、「それと」と付け足し璃緒先輩が言葉を続けた。 「私のことは会長か璃緒と呼んでと言ったはずよ?」 「うっ――」  そう、璃緒先輩は俺が生徒会室に来ると役員の仕事内容をいろいろと説明してくれたんだけど、その最後に「坊やはもう副会長なのだから、これからは私のことを会長と呼んで頂戴。もしくは璃緒、と呼んでくれてもいいのよ」と言ってきたのだ。  璃緒先輩を呼び捨てにする生徒なんて聞いたことがないしなー。3年生たちもさん付けで呼んでるんだもんな。いくら副会長になったとはいえ、急に俺が敬称も付けずに呼び捨てだなんて無理だわ。かといって会長と呼ぶのはなんか堅苦しすぎて嫌なんだよなぁ。
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