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「なんか李禹菜と瑠乃、性格が逆転した?」
蘭が突然李禹菜の背後から現れた。
「何よ蘭まで!私が子供っぽいとでも!?」
「うん。」
それを聞いて怒り出す李禹菜。
「きぃー!子供っぽくないもん!」
腕を振り回すので経夜が抱えて抑えた。
すると今度は動く右足だけ振り回す。
「そこがガキっぽいんだろ?」
「う…」
経夜に指摘されて大人しくなる李禹菜。
「姉様も可愛いですね。」
胡桃は笑顔でそう言った。
「胡桃~!あんたまで子供扱いするかぁ!!」
また暴れだす李禹菜。
「おいおい、胡桃は誉めてくれてるんだろ?」
「…むぅ…」
経夜の言う通り胡桃に悪気はない。
悪気はないので胡桃は少しショックを受けていた。
「…ごめん、胡桃。」
「あ、うん…」
「はい、仲直りしたところで…李禹菜見張ってて胡桃。」
「え?わっ!」
経夜は李禹菜を胡桃に渡すと荷物運びに行った。
「ちょっと経夜!」
「ね、姉様…」
胡桃が何故かつらそうだ。
「お、重い…」
「なっ!?失礼ね!」
「だって…」
しばらく李禹菜は怒っていた。
入学式当日。
緊張の面持ちで登校する胡桃。
「…緊張するなぁ…」
時間が少し違うので今日だけは一人での登校になる。
少し早く李禹菜達と一緒に行った方が良かったと、今更後悔する胡桃だった。
「…ん?」
何か頭についた。
「なんだろ?」
手に取ったそれは桜の花びらだった。
更に目の前を花びらが舞い降りてくる。
気になった胡桃は上を見た。
「わぁっ!」
緊張したままで下を向いていた為に気づかなかったが、目の前に満開の桜が並んでいた。
「綺麗…」
桜並木があるのは学校近くと神社ぐらいだったので、なかなか外に出なかった胡桃は初めて見る桜に感動した。
-何か頑張れそう…-
そんな気にさせる風景だった。
「…うん。とにかく頑張ろ!」
初めて胡桃が一人で前向きになれた。
胡桃はさっきよりも軽い足取りで学校を目指した。
入学式も無事終了。
ほっと胸を撫で下ろす間もなく、胡桃に新たな試練が待ち受けていた。
教室での自己紹介だ。
更に天宮というあ行の名字な為に一番最初だ。
胡桃は教壇の前に立った。
「…えっと…あ、天宮 胡桃…です。この町には引っ越してきたばかりで解らないことだらけですが…よ、よろしくお願いします。」
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