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最初は簡単だと思った。
だけど働いてみれば案外キツいこともあった。
まず、お風呂に入る回数が多い。
多い日は、4人位入る時があってそれだけで計8回お風呂に入ることになる。
冬場なんて本当に苦痛だった。
ホテルってお風呂場が大きいからお客さんの体を洗ってる時は本当に寒い。
立て続けに予約を入れられたらご飯を食べる時間もなかった。
だけど働いた分、その日に現金が手に入る。
封筒に1万円札を入れてそれを母の入院費、残りを生活費などに使っていた。
リピーターのお客さんがついたことで出勤日は予約を入れてくれたりした。
どんな金だって金は金。
そうやって割り切らなかったら仕事なんて出来なかった。
お母さんを助けたかった。どんな汚い金でも私が汚い人間でも…
お母さんを助けたい…
それしかなかった。
病室の母の顔を見ると心が痛かった。
でも母が助かるとわかるまではやろうと決意をした。
精神的には薬の量が増えてしまった。
クスリがキレるのがわかると不安になってくる。
その頃は大量のクスリとカミソリを持ち歩いてた。
お客さんも好い人ばかりではなかった。
無理やりオモチャを使う奴、本番をせがむ奴も中にはいて本気でムカついたりもした。
プライベートで会いたいって言うのが一番多かった。お金を貰えるだけだから仕事をする、ただそれだけ。恋愛感情なんか生まれる訳ない。
ヤクザのおじさんは気前がよくて上乗せしてくれた。お務めから帰ってきてわざわざ来たりもしてくれた。
そーゆーのは嬉しかったな。最初は全身墨があって入った当初は「ヘタこいたら殺される」なんてビビったけど上の人ほど礼儀はよかった。
1日昼過ぎから夜まで働いてだいたい5万位だった。
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