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「何と言おうが、あれは祖父から譲り受けた私の刀。私の所有物ですよ。」
重々しい雰囲気になりつつあった4人に月姫が声をかけた。
結局、刀を返してもらうためには丞にはなしかけなければならない。
ならば、今話してもあまり変わりはしないのだ。
だから。
月姫は観念して、永倉の部屋から出てきたのだ。
「刀、返していただけるんですよね?」
月姫は丞に聞いた。
丞にたいしてのはじめての敬語で。
丞はその話し方に悲しそうにかすかにだが瞳をゆらした。
「………あぁ。けど、今はダメや。とりあえず、土方はんのとこに行きぃ。」
丞は言う。
月姫は少し不服そうな顔をし、丞を見たが仕方なさそうに土方の部屋に向かおうとした。
「つ、月ちゃん!」
土方の部屋に向かおうとした月姫に守が声をかけた。
月姫は立ち止まる。
だが、守をみようとはしなかった。
「あ、えっと………ご飯、食べとらへんよね?ずっと食べに来とらへんかったから…大丈夫なんか?」
守は心配そうに月姫に聞いた。
それに月姫は目を丸くして、つい守を見てしまった。
自分のことを気にするのはまだ分かる。
だが。
泣かされたあとなのに、心配をするとは思わなかった。
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