第36章

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ソファに腰掛け、じっと俯く笹森の身体を左手で抱きかかえるようにして、俺は右手で彼女の手を握っていた。 月曜の昼休み。 俺達は、カウンセリング室のソファに座り、香ばしい香りに包まれながら、コーヒーが入るのを待っていた。 「ミルクとお砂糖は、入れた方がいいのかしら。」 振り返る今日子先生に、笹森は小さく、はい、と答えた。 彼女の身体は固く強張り、今にも震えだしそうだった。 俺は、出来るだけ明るい調子で、今日子先生の後姿に声をかけた。 「笹森、緊張してるんで、…ミルク多めに入れてあげてください。」 「え、緊張してるの?笹森さん…。」 笹森は、俺の顔をちらっと見てから、 「少し…。」 とか細い声で言った。 「緊張することないよ、今日子先生相手に。」 「そうよ。…今日は、来てくれただけで充分。カフェオレだけ飲んだら、教室に戻っていいから。」 先生はマグカップを二つ持って、こちらに歩み寄ってきた。 「…どうぞ。」 ミルクがたっぷり入ったカフェオレを受け取ると、笹森の顔にようやく、ぎこちないながらも笑顔が見えた。 「ありがとうございます。…いただきます。」 今日子先生は、人懐っこい微笑みを返し、俺にもマグカップを渡すと、キャスターつきの椅子に腰かけ、自分のコーヒーに手を伸ばした。 .
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