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柚子が恐る恐るその紙切れを見てみると…。
「手紙…?」
達筆過ぎて少々読みづらいが、龍神からの手紙だった。
「えーと…。“人間界では、戸籍がないと不便だろう。婚姻届も提出出来ない。”ってなんでそんなに詳しいの?」
「神様だからじゃない?」
「あぁ、そうか。で、“戸籍を作っておいたから、ちゃんと結婚届を出すように!”って詳し過ぎでしょう」
龍神からの手紙の内容に、柚子は思わずツッコミをいれる。
しかし両親は満面の笑みを浮かべていた。
「良かったじゃない、柚子。結婚届が出せるのよ!流石龍神様ね」
「結婚式はいつするか?一人娘の結婚式だから父さん頑張るぞ」
「話が早いから。…普通一人娘の結婚って父親は渋るもんじゃないの?」
互いの想いを伝え合い、恋人同士になれたのはついさっきの事。
それなのに両親はもう結婚まで妄想を広めている。
照れ半分呆れ半分。柚子は頭を抱えた。
「…君の両親は面白いな」
「あたしは頭痛いよ…」
何はともあれ戸籍の問題も解決し、それから数ヵ月後に、柚子と銀は無事婚姻届を提出した。
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