794人が本棚に入れています
本棚に追加
/85ページ
「…まさか父さんの本があんなに売れるなんてね…」
「まぁ良かったじゃないか。結果こうして神社も繁盛している訳だし」
お守りを買う為に列を成している女の子達を見て微笑む銀。
釣られて柚子も微笑んだ。
「いつの間にか“恋愛成就”の神社になってるもんね」
「実際俺達は龍神様のお陰で夫婦となれたんだ。間違いではないだろう?」
「…そうだね」
肩に腕を回され、そのまま銀の胸へと引き寄せられる。
柚子は抵抗する事なく彼の胸へと寄りかかった。
「…来年辺りには父さん隠居するって言ってたよ」
「俺が神主になるのか?まだ心の準備が…」
「次期龍神様が何弱気な事言ってるの?」
クスクスと笑う柚子に、銀も微笑む。
「銀なら大丈夫だよ。…これからもよろしくね」
「あぁ…。こちらこそ」
2人はどちらからでもなく顔を近づけ、周囲から見えないように口付けをした。
銀の昇神試験は一旦終了した。
しかし、これから2人には数々の難題が押し寄せるだろう。
その難題を乗り越えてこそ、銀は完全な龍神になる事が出来る。
人間としての生を終えた2人が、神界で龍として生きて行くのは、
また別のお話―――…。
最初のコメントを投稿しよう!