第1章 別荘

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 まさか子供の頃に隠れてやった遊びがこんな形で役に立つとは思わなかったが、人生ってこんなもんかなという感じ。  ホームセンターで買う時には僕の考えが読まれるんじゃないか、なんて馬鹿なことを思ったりもしたが、これは単なるレジャーだと思い込むことにした。  そう、単なるレジャー。限りなく密室に近い部屋で練炭を燃やすという、至極簡単で生々しい遊び。 「あの時は死ぬかと思ったもんなぁ……」  僕は近所の川で自分が釣り上げた魚を食べるという、某サバイバルゲームに感化された遊びを実行したことがある。  ああいった遊びというのは大人が介入しては興ざめしてしまうもので、幼い僕はこっそりと魚とマッチの箱を手に部屋へ閉じ籠もった。  マッチ数本を束ねて強化した火で魚を炙ろうとしたのだが、今となっては自分のやった行為に胃が縮みそうな感覚を覚える。
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