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私の首筋に触れた指先は形をすぅっとなぞり、紅く染められた所で止まる。
「結構ガッツリいったな。」
…だってその為に跡を残したんでしょ?
「うん、目立つね。コンシーラーでも隠せないかも?」
嬉しくて笑顔て言う私を抱き締めて…
「治るといいな。…金曜の夜までに。」
意外な言葉に凍り付く。
どうしてそんな事言うの?
本心なんかじゃないでしょ。
裕次に会わせたくないって。
独り占めしたいって…
妬いてほしいのに。
だってその為に…跡を残したんでしょ?
染めたんでしょう?
貴方色に…
お兄ちゃんが、その言葉をどんな気持ちで言ったのか…
考えるだけでも苦しくなる。
一緒に堕ちるって決めたのに。
そうやって、私を柔らかな場所に留まらせているのはお兄ちゃんなのに。
貴方のその言葉の意味を、意図を…
私が知るのはずっとずっと後の事。
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