第一章 【野良猫】

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何で本名を教えてくれないんだろう? でも、それ以上聞けなかった。 「わかった…ケイ」 ピンポーン! 「ルームサービスだ」 「ケイ、私が出る!!」 私は玄関に走った。 「こらっ!! 待て!!」 「キャッ!!」 お腹に腕を回される。 「そんな格好で出るな!! パンツ見られるぞ!! お前はここで待ってろ」 もしかして心配してる? 「はーい!!」 なんだか嬉しかったりする。 「今日はここで良い」 玄関からそんな声が聞こえた。 ガチャ。 「凄い!! 本格的なフレンチ!?」 「ここのはまぁまぁ旨い。 このまま窓際に押していけ」 私は言われるままに豪華な料理が乗ったカートを押して窓辺に置いた。 さっき“いつもの”って言ってたよね? いつもこんなご馳走を、こんな広い部屋で1人で食べてるの? ケイは書斎から椅子を2つ持ってくる。 なんだか胸が苦しくなった。 「お前…未成年だよな?」 ドキッ!! 「なっ…何で?」
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