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この場から離れたいという思いが、胸の奥から込み上げてくる。
「…………」
それでも一度目を瞑り、深く息を吐き出すと、わたしは無理矢理足を前に進めた。
「渋谷さん……」
わたしが側まで来るのを確認すると、渋谷さんは自分の足元を視線で示した。
そこには、間違いなく誰かが倒れている。
身体が震え、訳の分からない吐き気に似た気分を必死に押さえつつ、わたしはゆっくりと視線を下げる。
足を見て、胴体を見て、そして……、頭部へ。
「…………どうして?」
その顔を見た瞬間、わたしはその場に膝を付いた。
希望は、消えた。
目の前に横たわっているのは、間違いなく、友人である米元 憂李本人だった。
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