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落ち着こう。
確かに彼女は魅力的だけど、俺はナンパがしたいんじゃない。この気まずい雰囲気を何とかしなければ。
とにかく話し掛けよう。
彼女がこの空間のことを何か知っているかもしれない。
彼女は喋ることもなく、俺が頭の中でテンパっている間も親切に待っていてくれていた。まずは、自己紹介をして彼女がこの空間について知っていることを聞き出そう。それから、今後どうするかを一緒に考えて貰えるようにお願いしてみよう。
計画を立てそれを実行するために、俺は彼女に話しかけた。
「や、やぁ! 俺は……ブフォッ!?」
ただし、俺の計画は実現されることはなかった。
話しかけた瞬間。
目の前の彼女は表情を変えることなく構え、無表情のまま俺の眉間に向けて左ジャブを放ってきたのだ。予測不能な行動に対応できず、モロにくらってしまった。
さっき破廉恥な目で彼女を見ていたことがバレてしまったのか? それとも呼び止めたにも関わらず、何も喋らなかったことで彼女を怒らせてしまったのか?
自己紹介をする前に、彼女は気が短く、意外と乱暴だという新しい情報が手に入った。
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