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「ウッ! ガッ! ゴッ! ダッ!」
彼女の左ジャブは一発で止まらず、一定のリズムを刻みながら俺の眉間に向けて放たれヒットしていく。俺自身、彼女の左ジャブを防ごうという意思はあった。
ただし、腕が上がらない。いや、それ以前に全身が金縛りにあったかのように動かない。ジャブを貰い過ぎてしまったのだろうか?
そんなこともお構いなく、彼女は無表情で俺の顔を殴りつづけた。
しかし、驚いたことに、彼女のパンチが全然痛くないのだ。
むしろプニプニして柔らかい。女性の拳はこんなにも柔らかいものなのか? なんだかちょっときもちぃ――
突然無表情で人を殴り続ける彼女と、突然危ない道に目覚めそうになった自分に俺は恐怖を感じ始めた。
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