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そして、もう1つ…
「マーマー」
「なーに?」
歩けるようになったばかりの小さな足で、私の元に近付いてくる息子。
“ママ、ママ”と甘えてすり寄ってくるこの子は、私の子供。
私は3年前に、大学のサークルで知り合った先輩と結婚した。
そして結婚して2年後に、長男の翔(しょう)を出産。
そんな息子も今年1歳を迎え、今は家族3人幸せな生活を送っている。
特別な才能がなくたっていい。
勉強が出来なくたっていい。
翔には、ただ1人の人間として普通に生活していってほしいと思う。
元気でありさえすれば、私は他に何も求めない。
私は母親として、最愛の息子を守り抜くって誓った。
“いつか必ず、咲希の元に戻ってきます”
ふと、お兄ちゃんのそんな言葉を思い出した。
その言葉が本当なら、きっと…
私は息子を抱き上げた。
全身で感じる、息子のぬくもり。
この子も生きているんだ。
「翔、大好きだよ」
生まれてきてくれてありがとう。
私の元に戻って来てくれて、本当にありがとう…
-end-
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