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この作品は
前作『明日へ』と『みちしるべ』に登場させたマスターは、どんな生き方をして来たのか? それを知りたいという、あるクリエイター様のリクエストに応えて作りました。
そんなリクエストをするのも、どうかと思いますが、では書いてみますと応じる僕も、どうかしています。
『明日へ』も『みちしるべ』も虚構です。
そもそもが、作り話なのです。
しかし、小説というものは人間の物語を構築して、虚構の中にメッセージを込め、それらしく(虚々実々に)記述したものですから、元来が作り話です。
そして、この作品は表紙にも記した通り、一人称の記述の手法を試したものです。
リチャード・マシスンの著書に『ある日どこかで』という名作があるのですが、その作品は徹頭徹尾、主人公(男)の一人称視点で語られるのです。
その記述が素晴らしく読者は、いつの間にか物語に引き込まれ、あたかも主人公になったかの如く同化してしまうのです。
この作品は、その手法に倣ったものです。
従って、物語の結びを、例えば
葉山良介、後の『明日へ』のマスターの誕生であった。などと記しては失敗です。
最後まで一人称視点で貫かなければなりません。
言わば習作です。
尚、『ある日どこかで』に関連して『ある日海辺で』という作品を書きましたが、これも一人称視点を試したものです。
最後に。
この作品に挿し絵をお願いし、快く描いてくださったハレアカラさんに敬意と感謝の意を表します。
ありがとうございました。
平成24年5月15日
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