2/34
3391人が本棚に入れています
本棚に追加
/293ページ
「え…何で?何で聞かないの?佐和子はすんなり帰っちゃったの!?」 「…うん…」 宏樹くんと別れた次の週の土曜日、久しぶりに菜月と居酒屋に来た 「…普通理由ぐらい聞くよねぇ?何で?佐和子が理解できないんだけど…」 菜月は焼き鳥にかじりついた 「…聞けなかったもん…雰囲気で」 今日はお酒もあまり進まない 両手で軽く支えられたグラスは、汗をたくさんかいたままだ 「宏樹くん、どうしちゃったんだろーね…佐和子がすっごい久しぶりに出来た彼女だったらしいよ?…こうちゃんが言ってた」 あたしにも解んない 何であんな辛そうな顔してたんだろう 「あ、こうちゃんに聞いてもらおっか?」 「や、いい!それはいいよっ!」 「…わかった」 菜月は少しだけ腑に落ちない顔を見せたけど、すぐに笑顔でお酒を呑みだした 「佐和子はどうする?新しい彼氏作る?」 「まだ…いいかな」 当分宏樹くんを忘れられそうにない それに、もしかしたら連絡があるかも… なんて、淡い期待もあったから
/293ページ

最初のコメントを投稿しよう!