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「カイ、今日の朝に大きな地震があったな!」
みんなで朝食をとっていると隣りに座っている幼女が話しかけてきた。
久し振りに櫂の隣を陣取れたのが嬉しかったのか、笑みが絶えない。
その櫂はというと、心底面倒臭そうな顔をしてその問いに答える。
「気のせいだろ」
素っ気ない返事だが、そんなことは全然気にならないリリス。
「本当だぞ!もの凄く揺れたんだ」
小さな口にまだ温かいパンをもふもふさせながら、地震の揺れについて櫂に説明する。
そんな光景を向かい側の椅子でただただ黙って見る人物が2人いた。
「………………」
「…………むぅ」
お馴染みの櫂の追っかけ、イヴァとシーラである。
朝の弱い彼女らは揺れにも気づかず爆睡していたため、今日は出遅れてしまったのである。
そもそも彼女たちはいつも櫂と一緒に移動するため、必然的に食事をするときは櫂の座った隣に座ることになっていた。
そのため、今日のように櫂が先に行ってしまった時はリリスとアイリスにその席を取られてしまうのだ。
まぁ、リリスから見れば折角朝早くから食卓の席を取っていても、後からくる2人に狙っていた場所を取られるため空回りが多いのだが…
でも、今日は違う!
今日は私が勝ったのだ!
リリスの日々の努力が漸く報われた、そんな朝食であった。
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