5人の賢者

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「なぁ、賢者ってどんな奴がいるんだ?」 櫂は軽い放心状態になっているリリスに煙を吹きかけ覚醒させると、賢者についての説明を求めた。 「ゴホッ、まずは賢者5人いて、だな、」 煙が肺に入ったのか、リリスは咳き込みながら説明を始める。 「1人目がカル=プレスリーといって強靭な体をもつ男性だ。彼は大の酒好きでありつつ自らも酒を造っているらしいぞ。まぁ滅多に飲めるものではないらしいがな」 まだ口の中が煙たかったのか、リリスそばにあった水を飲む。 「ごほんっ、2人目がな、ソルティア=エディという女性だ。速さで右に出る者はまずいないだろう。そして何よりも有名なのが彼女が美し過ぎるということ。それはもう彼女を見た男性は全員が想いを寄せているくらいだ」 ――――まぁ、それが実った者はいないがな、と彼女は付け足す。 「3人目がシャルビア=トルアス。彼は何というか………」 ここで何故か言葉を詰まらすリリス。 彼女の気まずさを感じとったのか、代わりにフィオンが説明を続けた。 「シャルビア=トルアス……賢者にして唯一の犯罪者です。彼はいま、他の賢者4人が作った特別な牢獄に監禁されています」 賢者を崇拝するリリスにとって、その内の1人が犯罪者という事実はどうも言いにくい部分があったらしい。 「へぇ~、そいつは何したんだ?」 尊敬される賢者の中に犯罪者がいる……そのギャップに櫂は珍しく興味を持った。 「彼は多重人格者なのです。人格が幾つあるのかまで分かりませんが、その中の1人がとにかく残酷で強い方らしくて………それを見かねた他の人格者たちが彼の意識を抑え込み、賢者達がシャルビアという人物を封印していると聞いています」 説明を終えたフィオンはコーヒのお代わりをコックに告げリリスの方を向く。 「他の人格者達は悪い人ではないんだがな…」 リリスは代わりに説明をしてくれたフィオンにお礼を言うと、若干気落ちしながらも4人目について説明を始めるのだった。
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