暇色

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――それはふいで、いきなりで、唐突で、突然目の前にやってくる。 人類において、ある種最大の敵であり、同時に最高の友。 ひま。ヒマ。暇。 そう。何をするでもなしに過ぎても何も思わない時間。 だだっ広い海原に存在する無風地帯のように虚しく、赤白帽子を被ったらそれを真ん中で折って『へへっ、オレ二色マーン!』とかはしゃぐ小学生のようにありふれた事象。 それが暇の定義である。 日常を細かく分割すればするほど露になり、我らの生活に干渉してくる"それ"。 踊っているようで踊らされ、生きているようで殺されている現代。 暇な時間を“いらないもの”と認識している人もいるだろう。 しかしそれは間違いである。 物語は仲間がいないと荒むし、敵がいないと萎える。 そして敵が仲間になったとき。人生という物語は色彩豊かに彩られるのだ。 ――要約。暇は突き放すのではなく鮮やかにペイントすることで、簡単に映る世界を変えることができる。 もちろん、幾分前向きに。 ――――だからボクはローラースケートを履いて滑り台を逆走してみた。
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