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その家は近所で知らない人がいないとまで言われている程に『奇妙』な家だった。
通称『時計屋敷』と呼ばれているこの家には、たった1人だけで住んでいる人がいる。
その名もレモンさん。
勿論本名ではない。
彼女は時計屋敷の縁側でよくレモンを食べていた。
それが理由で勝手にレモンさんと皆は呼び出すようになる。
レモンを食べているその姿は美しく、奇妙な家に住んでるということを含めても、みんなからは好意の目を向けられていた。
そして僕もそんな中の一人だった。
ある日、僕は今まで誰もしようとはしなかったことを決行する。
レモンさんに話しかけるということだ。
何故そうだったのかは覚えていないけれど、レモンさんに話しかけようとする人は1人もいなかった。
話しかけたらレモンさんが消えてしまうのではないか、なんて噂も流れていたような気がする。
まあ、とにかく、誰も話しかけようとしなかったレモンさんに僕は話しかけたのだ。
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