第五章

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  お母さんは優しく微笑んだ。 久々に会えたのが嬉しいのかな? 「わかった。 二人が付けた愛称で、 君が気に入っていると言うなら、 私も喜んでクロと呼ぼう。 しかしまた、本名とは真逆の愛称だな。 それと、そちらの可愛らしい君は誰だ?」 どこか緊張したような雰囲気の七色が、 「初めまして。 私は七竈七色と申しますの。 ヨルさんと輝刹さんとは、 とても仲良くさせていただいてますの」 そう言ってお辞儀をした。 「ああ、君が七色さんか。 初めまして。 ヨルや輝刹から話はよく聞いている。 こちらこそ良くしてもらっているようだ。 ありがとう。 これからもよろしく頼む」 お母さんも七色に倣って、 私とくっついたまま、器用に頭を下げた。 「今も娘二人と一緒にいてくれたのか。 重ね重ねありがたい。 だが、もう時間も遅い。 家には連絡したのか?」 お母さんはクロと七色に近付く。 私もお母さんと離れないように、 割と必死に付いていく。 「私はもう連絡しました。 遅くなっても構わないが、 その時は合歓木が来てくれるそうです」 クロは家に連絡してたみたい。 いつの間に…。 私が錯乱してた時かな? 言われてみればそんな気もする。 ちなみに合歓木はネコさんの本名。 合歓木 紅弥。 姓と名の頭を取って、ネコ。 その呼び方は、 きーちゃんと私で付けたあだ名。 「私もさっき連絡しましたの。 今帰ったら、むしろ怒られそうですの」 少しでも場を明るくしようしてくれて、 冗談っぽく七色は笑った。 彼女が病院に着いてすぐに、 自宅に電話してたのをギリギリ覚えてる。 バタバタしてたのに、 二人ともちゃんと連絡しててスゴいなぁ。 私なんてこの間、 お母さんに連絡するの忘れて、 そのまま寝ちゃってたのに…。  
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