1

2/29
846人が本棚に入れています
本棚に追加
/308ページ
「なぁ……なんちゅうとこで寛いでんねや?」 「窓際」 高い。 高い。 図書室の窓枠。 ステンドグラスまで嵌め込まれた凝ったもの。 そこの一番上の窓を開けて腰掛けていた。 「それは窓際やのうて窓枠や」 「そうかな?」 「……もうええ。とりあえず降りてこい」 「ん?どうかした?」 「侵入者や」 「……珍しいね」 朔(サク)は軽く飛び降り、フェンリーの傍らに立つ。 「この間セキュリティチェックかけたばっかりだったのに」 「……しかも女みたいやで?」 「男尊女卑?」 「ちゃうけど、身体能力考えたら男の方が易いやろう?」 「否定はしないけどね」 軽い調子で朔はのびをする。 「どうせ……相手は僕でしょう?」 「恭兄の可能性もあるわな」 「笑えないな」 取り急ぎ侵入者を捕獲しなければ。 面倒だなぁと朔は欠伸を噛み殺した。
/308ページ

最初のコメントを投稿しよう!