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「愁斗さん……」
私は彼にそっと抱き付いた。
本当にそっと。
「……夢?」
「唯です。真山唯です……ごめんなさい」
私はそう名乗って詫びた。
彼を騙したことを心から詫びた。
「え?」
彼は私をそっと自分から引き離すと、私の顔をジッと見つめた。
私も彼の顔を見上げ 彼の反応を待った。
「そうか……」
彼が呟くように言った。
「ごめんなさい」
私の目から涙がこぼれ落ちた。
「何で唯が謝るの?」
彼が私を唯と呼ぶのは……初めてだった。
「ごめんなさい。私……あなたに逢いたくて……」
もう、涙が止まらなかった。
「……唯」
「夢となら会ってくれるから、私……」
そこまで聞くと、今度は彼の方から私を抱き締めてくれた。
愁斗さん、唯を受け入れてくれるんですか?
「ごめん、唯。俺、勝手だった……ごめん」
愁斗さんは私を抱き締めながら 多分……泣いていた。
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