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シトシトシト…
雨が降っていた。
纏わりつくような生温い空気を削げ落とすようにシトシトシトと遠慮気味に降っている。
緋鷺(ヒサギ)は大学を出た所で雨に気付き、ふと空を見上げた。
「お疲れ緋鷺!って雨かぁ…」
緋鷺は同じ大学の友達に声をかけられ微笑みかける。
「お疲れ。傘無いのに雨とか最悪」
「彼氏に入れてもらえば?太幡くん講義終わったんじゃない?」
友達はニヤニヤと笑うのを緋鷺は戸惑ったように微笑み返した。
「今日は何か集まりがあるからって講義サボったらしいよ」
サボりかー、と友達はケラケラ笑った。
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