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スレイヴ・バイ・ライト(SBL)起動、アクチュエーター正常駆動、システム、オールグリーン。
いつもの確認作業を終え、左の親指を手袋越しに軽く噛んた俺はコックピット内のレバー、ペダルに両手両足を添えてやる。全方位モニタの中央には徐々に減っていく数値、この戦場(ゲーム)に乱入するまでのカウントダウンが既に始まっている。
カウント、ゼロ。参戦許可。
さぁて、稼ぎますか。
そう呟くと同時に全方位モニタに火が灯り、灰色の空が映ると共にリニアカタパルトで機体が射出、強烈なGが俺の身体に快感として染み渡る。モニタを見下ろせば、黄土色の大地に穢い星々が生まれては死んでいく。
その大地、穢れた宇宙と呼べるこの場所こそが、人類の産み出した闘争の終着点、戦争(バトル)ゲーム。俺の生きる世界だ。
ただ本能に従って争えばいいものを、やれ人権だのやれジュネーヴ条約だの、自分が美しい、ホントは戦いをしたくないと見栄を張り続けた結果生まれたこのシステムは、丁度「ある分野を極限まで追い求めたら、結果シンプルな最初の形に戻った」というよくある出来事を具現化させたようなもので、ゲーム主催者は俺達最下層の屑達を奴隷として建前無しにこの無限地獄へ突き落とし、それをあざ笑いながら金をむしり合う。
人権屋は『人間を競走馬扱いする最低行為』と叫んでいるが、
だからこそ、面白いんじゃないか。
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