786人が本棚に入れています
本棚に追加
/564ページ
事件の対応で上層部はいろいろと奔走しているだろうし、所属しているアイドルや他の有名人たちだってこれからどうなるのか不安を抱いてる状態だろう。
ましてや、日向や羽舞はその筆頭だ。
こうして自分たちに会いに来ている余裕など、本当はないのではないか。
そんな心配をしながら訊ねた絵夢だったが、日向はあっけらかんとした口調で言葉を返してきた。
「知りませんよぉ。あたしもうアイドル辞めましたし」
「……え?」
言われた内容が理解できず、頭の中に疑問符が浮かぶ。
「先週、辞めたんです。今は普通の高校生で、来年からは普通の大学生になる予定です。馬鹿だから浪人しそうですけど」
そう言って、日向はまた絵夢を見上げて笑う。
太陽が眩しかったのか、僅かに目を細めるその表情からは悩みや後悔は微塵も感じられない。
最初のコメントを投稿しよう!