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現実から逃げたかった。
逃げたくて、逃げたくて、逃げたくて。
無我夢中で走り続けて―…。
「…ここは…どこ…?」
当然のように道に迷う。
身体の芯まで凍る寒さを、今更ながら感じる。
「寒い…。」
一面に広がる白銀の世界。
来た道も、行く道も分からない。
「はぁ…ハァ…。」
段々と力を失っていく身体。
意識が薄れていく。
(このまま…。)
雪に埋もれる。
(死ぬの、かな…。)
それも良いかもしれない。
生きていた所で、もう―…。
(私は…独りだ…。)
重くなった瞼を閉じた。
このまま、楽に死ねることに、安息の笑みを浮かべながら。
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