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すると、屋敷の地下へ続く車両用の通路が見えた。
仮に、積み込めば大和が乗るセダンなど上下左右8台は同時に入るほどの大穴は、都心にそびえるビルの駐車場と同じ入り口を感じさせる。
子供が喜びそうな直進のスロープを下ると、やがてその屋敷の地下駐車場に辿り着いた。
地下には、その屋敷の一族が乗るであろう車たちが駐車されている。
リムジンは白と黒以外にも紫や赤等、まるで色鉛筆の彩色が並んでいる模様。
斜めに停められた長いリムジンたちは、どれも金のエンブレムが飾られていた。
あんなにも長いリムジンたちが、あのスロープをどうやって上り下りするかの疑問を浮かばせる間も無く、他の車に目が移る。
住人の誰かが好きなのか、大和の年収すら遥かに超えた高級車はもちろん、軍用車に近い外車や、ツーシートのスポーツカーも多数見かけた。
「くそっ。あれ欲しかったやつだ」
大和は世界に数十台しか存在しない稀少車を見ながら、本音を口にした。
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