陣の章

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「……部屋が広くなってるのよ」 室内を見回し、昴はそう呟いた。 まさか、そんな。光がそう心で唱える中。 「きゃっ」 部屋が揺れ、小さな悲鳴が。 地震。 むしろ自身か。 「雪崩じゃないのお?」 拭えない異変に、光はタッチパネルを確認した。 「これは……!」 パネルに映し出された屋敷内地図。 その模様は屋敷に起きる異常を映し出していた。 部屋のそれぞれが三次元マップとして投影され、情報はソナーによって常に更新されている。 が、今まさに、毎秒ごとに── ──部屋数が増えているのだ。 「部屋が……増殖している?」 「光!」 昴が膝で立ち上がり、施錠された自身の両腕 を突き出す。 「あたしの縄を解きなさい!すぐ!今!早く!」 光が躊躇する中、姉は更に唾を飛ばす。 「緊急事態よ!悪い事は言わない!しないから!早く!」 姉に駆け寄り、光はとうとう姉の縛を解いた。 すると。 「きゃっ!」 「ふふっ…ありがとう光」 昴は微笑みながら、光を突き飛ばした。  
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