大和の章

9/28
60930人が本棚に入れています
本棚に追加
/492ページ
そして、大和は写真の人物たち数人の顔を知っていた。 そもそも、彼はこの写真に写る人物の1人と会うため、この屋敷へ訪れたのだ。 「これは、長門さまご家族の記念写真ですね?」 「よくご存知で。けれど問題はこのお部屋の中に、人間は何名いますでしょうか? というものでございます」 少し見ただけで、この写真内には計7名の人物がいると分かる。当然猫は含まれない。 まさか幽霊が写っているわけでも、階段の装飾が人の顔に見える騙し絵の様子もない。 仮にそうだとしても、彼女は人間と明言した。 老夫婦が2人、壮年の夫婦が2人、子供が2人に赤子が1人。 すなわち答えは計7名。 「答えは……」 答えを言う瞬間、大和の心に疑いの重しが圧し掛かる。 違う。 部屋の中の人数だ。 『 この写真に写る、お部屋の中に、人は何名いますでしょうか──? 』 「──答えは8名以上だ」 大和の答えにメイドの光は微笑んだ。 「正解です。理由は?」  
/492ページ

最初のコメントを投稿しよう!