呪われし血染めの剣

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ある日の教室。 いつも通りに誰かが登校してくれば誰かが挨拶を交わす。 ちょっと名の知れた生徒が現れればそれに見合ったリアクションが飛び交う。 一見何の変哲もないが、一つ気掛かりがあった。 「おはよう!オリーブ、どうしたの?なんだか落ち着きがないみたいだけど……。」 「……あ、カンナちゃん。おはよう。何でもないから、大丈夫だよ。」 いつになくオリーブに落ち着きがない。席にはついているものの、辺りをきょろきょろ見回したり、急にちょっと廊下に出たり、誰かを探しているようだ。 「やっぱ何でもなくない?」 「う~ん……、ねえ、昨日からルオーテの姿を見ないんだけど、カンナちゃんはどう?」 「へ?そういえば見てないかも……。でももともとそんなに会うわけじゃないから。」 「そう?」 どうやら昨日から幼なじみの姿を見ず、寮にもいない、何やら物騒な噂が立っているというので、気になって仕方ないらしい。 「おハロー!あら?カンナちゃん達どうかしたの?」 「あ、チルル。実はかくかくしかじか…で」 「ああ!ロッシ先生が言ってた話!?」 「「え!?ロッシ先生何か知ってるの!?」」 チルルの語るところによれば、ルオーテは剣術道場に封印されていた魔剣『イービルブラッド』を持ち出したらしい。そしてその魔剣というのが持ち主の力を最大限引き出すかわりに精神を乗っ取り、狂戦士に変えるという面倒なシロモノであるという。ルオーテももれなく剣に操られ、剣士の山道にて被害者まで出しているとのこと、というのをロッシが話していたという。 「まったく、何やってんのあの馬鹿!」 一通りの話が終わると、オリーブが正直な感想をもらした。 「それじゃ一刻も早く助けにいかないと!」 「でも相手はルオーテだし、フルパワーでくるんだよ?本体より剣をどうにかしないとだよね。」 「とりあえず、今日のうちにロッシ先生に詳しく話を聞いて、放課後にでも出発しましょう!」 間もなく朝のホームルームが始まった。 カンナ達の忙しい一日が始まる。
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