第0夜 逃げるが勝ちだ!

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「フハハハハ!! そんなのろまな足でオレに追いつけるとでも思っているのか!?」 ただ今オレ逃走中。 何故逃げてるのかって? それはもちろん・・・・ 「追われているからさ!!」 オレの後に続くのは、手に剣や槍を携えた、 古代魔法で動く機械人形達。 その数およそ30。 帰る時に迷わないように、 来る時につけた道標を辿ってオレは遺跡の出口に向かう。 「プッ、遅っ。」 オレと機械人形の距離はどんどん離れていく。 ま、オレが速いだけなんなんだけど。 オレの逃げ足に追いつける奴なんて、 この世界のどこを探してもいねえぜ! 「それにしても、今回は超レアなお宝だったぜ。」 古代秘宝〔アーティファクト〕の中でもトップクラスに位置する、 どんな傷でも病でも癒す秘宝、万能薬が入った小さな黒い瓶が、 オレの手の中にある。 これで、この先一生遊んで暮らせるぜ。 「見えた!!」 この薄暗い遺跡に、紅い光が差し込んできている。 もう機械人形達は見えない。 「フゥ、出れたぜぃ。」 入った時はまだ夜だったのに、 もう夕暮れか。 オレはレオンハルト・スターダスト、 22歳。 名前はすごいって言われるが、 職業は墓場泥棒。 格好よく言えば、トレジャーハンターだ。 「さてと、これから何しようかな?」 そんな事を考えていると、 ガシャガシャという音が後ろから聞こえてきた。 何かと思い後ろを振り向くと、 今まさに機械人形の剣がオレに振り下ろされようとしたところだった。 「うわぁぁあぁぁぁ!!」 オレは前に転がり、超ギリギリで避けた。 気づくのが一瞬でも遅れてたら、 今ごろオレは真っ二つであっただろう。 え、ちょっ、嘘でしょ? ここ一応遺跡の外だぜ? 古代魔法の有効範囲は普通遺跡の中だけだろ! 「プギャ!!」 オレは突き出された槍を、 地面を転がって避ける。 ヤバイヤバイヤバイヤバイ。 これは軽く死ぬ。 「うわぁぁあぁぁぁ!!」 全力疾走。 後ろから雨のように飛んでくるボウガンの矢はこの際気にしない!! つーかオレはどこまで逃げればいいんだよ!? 後ろを振り返らず走る事約10分。 心臓が有り得ない程バクバク言っていて、今にも張り裂けそうだ。
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