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「で?仲直りしたのか?」
「は、はいっ…」
額を抑える悠貴に改めてそう尋ねる黒田。
「そうか…新幹線の中でお前と桐生が話しているのを見て安心した。お前と桐生の間に何があったか知らないが仲直り出来たんなら良かった」
僅かに微笑んだ黒田にはいつもの厳格な雰囲気はなく、教え子を想う気持ちが見えた。
「…」
「どうした?」
「いや、和博先生笑うんだなぁって…」
「お前本当に俺のことなんだと思ってるんだ…」
鬼の目にも涙。
黒田の顔にも笑顔。
「まぁいい。明日がメインだからな、早く寝るんだぞ」
「はーい!」
「…信用できんなお前…武藤!」
「はい?」
ベッドから立ち上がった黒田はずっと黙っていた奏を呼ぶ。
「信条のことちゃんと寝かせるんだぞ」
「分かりました」
黒田は奏の返事を聞いて満足したのか、部屋を出ていくのだった。
「あーびっくりした!」
黒田が出て行った直後、玲奈がそんなことを言いながらバスルームから出てくる。
「悠貴…ごめんなさい…私の髪の所為で…」
「そうだよ!危うくバレるところだったじゃん!なんで紗耶髪下ろしてるのっ?」
悠貴に謝る紗耶を咎める玲奈。
「うぅぅ…ごめんなさい…」
「ま、まぁまぁ!何もなくて良かったじゃん!」
玲奈を宥める悠貴は額が赤くなっていた。
「…悠貴、またデコピンされたの?」
それを見た玲奈が悠貴の顔を覗き込む。
「うん、相変わらずゴリラみたいな撃力だった」
「クスッ!何それ」
笑う玲奈は悠貴の額に手を翳し魔法で痛みを取り除く。
「それじゃあ私達そろそろ戻るよ、私達の部屋にも先生が見回りに来たら困るし。紗耶、戻ろ」
「…うん」
玲奈はそう言ってしょんぼりした紗耶を連れて部屋を出て行くのだった。
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