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「はい、天才なんで!」
「被害に遭った女性から学園に連絡があった」
黒田はそんなことを言いながら先程紗耶が座っていたベッドに腰を下ろす。
「南国治安隊からも感謝状が贈られるそうだ」
「ま、マジっすか!?」
「意外だな、お前はそんなものに興味はないと思ってたんだがな」
「いえ、感謝状の贈呈は平日なので授業を抜けれると思ったんです」
「お前教師の前でそんなこと言うなよ」
足を組んだ黒田は呆れたような表情をする。
「ん?なんだこの長い毛は?」
そんな時、黒田がベッドの上に落ちていた一本の毛を拾い上げる。
黒くて艶のある長い毛は一本でもしっかりと存在感を放っている。
それはどう見ても紗耶の髪の毛だった。
「お前ら女子生徒連れ込んでるんじゃないだろうな」
「い、いえ、連れ込んでないっス!」
一瞬ぎくりとするが表情には出さない。
「おそらく制服に桐生さんの髪が付着してたんだと思われます隊長!」
「誰が隊長だ」
ギロリと睨む黒田。
「まぁいい…お前、桐生とは仲直りしたのか?」
「…え?」
少しの間の後、声色を変えた黒田は小さくそんなことを言った。
「なんだ?俺がそんなことにも気付かない鈍感教師だとでも思ってたのか?」
「いえ、血も涙もない凶悪犯だと思ってました」
「お前デコピンされたいのか?それと帰ったら反省文な」
「ひえー!」
悠貴にデコピンを喰らわした黒田はもう一度ベッドに座りなおす。
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