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「おにぃちゃーん」
「真子!ちゃんと寝てろって言っただろ?」
俺は抱きついてくる妹を受けとめながら叱った。
「だって、真子すごく暇だったんだもん」
「でもダメだ。ベッドで大人しくしてろ!」
ついキツく言ってしまった。
真子と同室の人たちは何事かとこちらを見る。
「う………うぇ………」
真子の瞳はみるみるうちに涙が溜まっていく。
――――………まずい。
そう思ったときには遅かった。
「うわああぁぁあん!!お兄ちゃんの馬鹿ぁー!!」
こうなるともうお手上げだ。
真子は一度泣き出すと止まらない。
ギャーギャー泣く真子を見て、顔をしかめる同室者たち。
ここは病院だ。
さすがにこれは迷惑だろう。
「あー、もう。うっせーよ!
いい加減泣き止め!!」
まだ小学生の俺は、どうしたらいいのか分からず途方に暮れた。
そのとき………
「ねぇねぇ。どうして泣いてるの?」
うるさいはずなのに、やけにその声がすっと耳に入ってきた。
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