第四章 【黒幕】

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それまでは薫との結婚はしないと決めた。 きっと危険な任務になるから。 薫もそれで納得してくれた。 ただ婚約だけはしてほしいと言われて、退院したその足で婚約指輪を買いに行き、俺は署に向かう。 「おはようございます!!」 「おー!! 滝川、退院か!!」 「ご心配おかけしました」 「今日は退院祝いだな」 伊達さんは嬉しそうに笑う。 「よし、店を予約だ」 その時、署内に放送が入る。 “刺殺体発見の通報あり。 第一発見者はジョギング中の男性63歳。 被害者の年齢は20代から30代男性。 至急現場に急行願います” 「滝川、行くぞ!!」 「はい!!」 歓迎会はキャンセルだな…。 俺は伊達さんの車の助手席に乗った。 「お前も退院早々災難だな」 「伊達さん」 「ん?」 「盗聴器、ついてますよ? 車でのデートは避けた方が良いですね」 俺は笑った。 「マジかよ!?」 「嘘です。 後で斉藤の家に寄ってまらえますか? 線香をあげたいんで」 「嘘かよ!! わかったよ。 まずは早く事件を片付けようぜ」 「はい」 山下は取り調べで黙秘を続けているらしいが、山下に命令され既にパズル事件で捕まったヤツや、今回のことも皆が証言することで実刑は免れられないだろう。 いったい加害者は誰で被害者は誰だったのか…。 俺にはどうしても斉藤が加害者には思えなかった。 アイツを変えてしまったのは俺達だから…。 俺にとってのパズル事件はまだ終わらない。 そのためには上を目指す。 黒幕の近くに行くために。 パズルⅡ 2011/6/30 完結
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