転入生の憂鬱。

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「見た目は普通……。」 ……何期待してんだ、俺。 学校がマッスルって有り得ないじゃん。 「やぁやぁ。 チミ、見かけない顔だねぇ。」 俺の後ろからハスキーボイスが聞こえてきた。 ……チミ? 今時、チミと言う人いるのか? 「あ、俺は……。」 「ストーーップ!!」 自己紹介しようとした俺は静止される。 何なんだ、この人は……。 「チミが何者かあててみせるぜよ。」 変な言葉遣いの彼の風貌は、長めのサラサラ茶髪が無駄になびき、大きめの瞳はキラキラしている。 背も高く、ガタイのいい感じである。 『黙っていればイケメン』タイプである。 「はぁ……。」 俺は生返事をする。 「…………。」 険しい顔をして考え込む彼。 「…………。」 答えを待つ俺。 「… … 。」 ためる彼。 「… … 。」 堪える俺。 … … … … 。 だあぁぁぁ!! もう、限界だ! 「あの……。」 待ちくたびれた俺は口を開く。 「チミは転入生だろ!」 ズバッと俺を指差し自慢げに彼は言う。 うん。 制服違うし、何となく予想はつくだろう。 「はぁ。 そうですけど。」 早くこの場を立ち去りたい……。 何で俺、絡まれたんだろう。 「何でチミの正体をわかったか知りたい?」 うわぁ……。 教えたがってる……。 「いや、あの。 そろそろ始業だし、行かないとまずいのでは?」 嫌味混じりに俺は言った。 面倒臭い……。 目立ちたくないし、早くこの場を立ち去りたい。 「うん! そうだね! そうしよう! 後から話そう! そして、これを君に進呈しよう!」 彼は俺に小さなメモ紙を手渡した。 ……意外に素直なんだな。 「はぁ。 ご親切にありがとうございます。」 しっかりとそれを受取り、俺は礼を言った。 「じゃ、アディオス!」 右手をシュッとあげ、彼はさっさと立ち去った。 ……嵐のような人だ。 一体なんだったんだろう……。
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