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「お嬢さん。感じてんのかい?ふふふ・・・」
耳元で声がした。
気持ち悪い声。
息が耳にかかるほど近い。
<やだ・・・怖い・・・>
声を聞き、急に体が震えだす。
反応してはダメだと頭ではわかっていても、それを抑える事がどうしてできない。
「声が聞いてみたいなぁーー。」
言葉とほぼ同時に男の手が私のお尻をスーツの上から鷲掴みした。
「やっ・・・」
驚きからか、恐怖からか思わず声が出てしまった。
しまったと思ったがもう後の祭り。
「可愛い声で鳴くんだね。もっと聞いてみたくなるよ。」
男の手の動きが変わった。
その手が増え両手で触ってきた。
「ヒッ!」
怖さで言葉を失うとはこの事か。
だが、黙っていては男のされるがままになってしまうと考え、心の中の残っていた一握りの勇気を振り絞り、私は男に言った。
「や、やめてください・・」
声に出してみたらひどく弱い声になってしまった。
だが、それも全てが無意味。
「やめてほしかったら一回付き合えよ。もし、嫌とか言ったら明日から毎日可愛がってやるよ。ふふふ・・・」
サァーーーー・・・
頭から一気に血の気が引いてゆくのを感じた。
見開いたままの目からは止めどなく涙がこぼれてゆく。
終わった・・・・
心の中にはもう、絶望の2文字しか残っていない。
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