十三、忌み子の理由

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孫権「…棗、あの時話した物語は……実際にある話だということか?」 棗「えぇ…あの時は、みんなに私の素性と秘宝の存在を隠してたから…敢えて物語だと言いましたけど」 孫権「……だから私にあのような問いをしたのだな。まさか全てが現実の話だったとは……」 孫権様の表情が、青ざめていた。 直感で…私の話が如何に重大か分かっていたのだろう。 あの時もそうだった。 実在しない話として聞いていたにも関わらず、その顔は真剣だった。 笑うことも、馬鹿にすることも一切しなかった。 だから……孫権様はより一層みんなより…… 恐怖を感じたはずだ。 尚香「一体なんなの??」 棗「孫権様には以前、このことを話したの。実在の話ではないと偽ってね」 陸遜「何故ですか?」 棗「…月の雫は、持つものに力を与える。今の世で、天下を手に入れることは、たぶん簡単なくらいね」 孫権「……だが、それと引き換えにこの世は闇に覆われ、更なる混沌の世となる。そうだったな?」 棗「はい。闇を守るためにある秘宝だから、それが別の理由で使われたらもう防げない」 尚香「……ゾッとする話ね……」 人間でも、闇がどれだけ恐怖を抱かせるものかを知っている。 持ち出した奴…見つけたらマジで容赦しない。
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