第弐階

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通常の槍による突きは、点 しかし、怨憎会苦は、横に伸びる棒がある。 それは、点である突きを線に広げる武器である。 突きなら、少し身体をずらすだけで避けられる。黒衣の男の腕なら突きをすり抜け反撃をして来るだろう。 だが、怨憎会苦の線による突きは、大きく避けなければ、いけない。 そして、その回避は、苦識の体制を整えるのに十分な時間を作った。 「せい!」 突き出した怨憎会苦を黒衣の男が逃げた左側に向けて水平に投げる。 黒衣の男は、帽子を押さえてしゃがんで避けた。 しゃがんだ動作を跳ぶに切り替えまた低い姿勢で滑空してくる。 「犬の即倒!」 ワンパターンの動きに苦識は、雄叫びを挙げて対処する。 右手で鎖を引き寄せながら、左蹴りを放つ。 「糞っ!」 黒衣の男が踏ん張り急ブレーキをかける。 「貰った!」 放った左足を下ろし踏み込むで跳び右腕を振り上げる。 引き寄せた鎖が怨憎会苦を引き寄せ黒衣の男を前後で挟む。 男も気づいたのか、トランクを後ろに叩きつけるように下ろし怨憎会苦の盾にして、苦識を迎え討つ。 苦識の右ストレートを左側に踏み込み避ける。 そして、苦識の顎をぶち抜かんとする右アッパー 苦識は、思い切り後ろに飛んで避ける。 避けながら、怨憎会苦を引き寄せる。 「ぬっ!」 怨憎会苦の十字架がトランクごと黒衣の男を引き寄せた。 引き寄せる勢いを使い 左腕の鎖を握り締め 苦識の鉄拳が放たれた。 「グハッ!!」 顔面への拳は、黒衣の男を捉えた。 吹き飛ぶ彼を見ながら、怨憎会苦を取りに 「はっ!」 転がる獣に鍬を叩きつけるように鉄槌を振り下ろした。 「ふん!」 黒衣の男は、背中を支点捻り鉄槌を避ける。 身体の捻りを生かした蹴りが放たれた。 「ぬっ!」 腹部に当たった蹴りは、苦識を下がらせ、その隙に黒衣の男は、立ち上がる。 「本当に厄介な得物だな。」 「お褒めの言葉、有り難うございます!」 怨憎会苦を投げる。 それは、一直線に黒衣の男の胸に向かった。 黒衣の男は、飛び上がりトランクから十字架を取り出した。 細く長い剣 黒鍵と言う西洋の刺突用の武器である。 「本気でやる!」 黒鍵を叩きつけるように怨憎会苦の鎖に投げつけた。
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